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レチノイドの違いとは?
4種類のレチノイドの特徴や効果を徹底解析

シワやシミ、の改善に効果的な「レチノイド」。ビタミンAの一種で様々な肌トラブルを改善する効果が期待できる成分です。

レチノイドはほかにもレチノールなど違う呼び方をすることがありますが、これらは同じものなのでしょうか。

本記事ではレチノイドの種類や違い、効果について詳しく解説します。

レチノイドとはビタミンA

レチノイドとは、ビタミンA(レチノール)やビタミンA誘導体を総称した名称です。

2017年にレチノールが厚生労働省でシワ改善効果があると認められ、医薬部外品として化粧品が販売されるようになりました。

シワ改善の他にも以下のような効果が期待できます。

  • シミを薄くする
  • ニキビを改善し予防する
  • ニキビ跡の色素沈着を薄くする
  • 毛穴詰まりを解消する
  • 毛穴の黒ずみを解消する

肌表面に出ているあらゆるトラブルを改善する効果が期待できるため、エイジングケアには欠かせません。

ただ、効果が高い反面副作用もあるため使用には注意が必要です。

レチノイドの反応

レチノイドには「レチノール反応」や「ビタミンA反応」、「A反応」と呼ばれる副作用があります。

主な症状です。

  • 皮むけ
  • 赤み
  • 乾燥
  • ヒリヒリ感

肌のターンオーバーを促進するため、本来約38~46日間かけて行われるターンオーバーを早める働きがあります。

肌表面に留まっていた古い角質が剥がれるため、皮むけや乾燥が起こります。反応が出ている期間は肌のバリア機能が低下しているので、しっかり保湿をして乾燥しないように気を付けましょう。

ビタミンAが不足している肌ほど反応が出やすいため、肌は徐々に慣れて反応は出にくくなってきます。約3~6週間で反応は落ち着き、きれいな肌になっていくでしょう。

レチノール配合の化粧品には濃度があり、0.1~1%が目安です。濃度が高いほど反応が出やすいため、副作用が心配な方は低い濃度のものから使用するといいでしょう。

レチノイド配合の化粧品

レチノイドが配合されている化粧品には種類があります。

  • 化粧水
  • 美容液
  • アイクリーム

顔全体に使用する化粧水や、シミやシワが気になる部分に塗る美容液、目元のトラブルを改善するアイクリームなどがあります。

市販されているレチノイド製品は医療機関で処方、購入できるものと比べて効果が緩やかなものがほとんどです。

改善したい部位や目的に合わせて、レチノイドの種類や濃度を確認して使うようにしましょう。

レチノイドには種類がある?違いは何か

レチノイドはビタミンA誘導体のことなので、複数種類があります。

それぞれ特徴や効果が違うので4種類のレチノイドについて見ていきましょう。

攻めのレチノイド

  • レチノール

守りのレチノイド

  • リノール酸レチノール
  • パルミチン酸レチノール
  • レチノイン酸トコフェリル

レチノール

レチノールとはビタミンAのことです。

肌へアクティブに働く攻めのレチノールとも言われています。レチノールが体内で表皮の基底層に運ばれ、酵素によって代謝を受けレチナールに変化、最終的にレチノイン酸に変化し、このレチノイン酸が薬理作用を発揮します。

例を挙げると

  • 角質の代謝を促す事でターンオーバーを活性化させる。
  • 表皮層のヒアルロン沈着を促し、真皮層のコラーゲンを増生させる。
  • 毛穴の閉塞を解除し、さらに皮脂腺の働きを弱め、皮脂トラブルを予防する。

といった効果があります。

ビタミンA誘導体はレチノールの構造が変化した成分のことです。

誘導体とは、有機化合物の一部分だけを変化した物質のことなので、レチノール単体を変化させたものがビタミンA誘導体となります。

そのため、レチノール(ビタミンA)は1種類ですが、ビタミンA誘導体は複数種類があります。

次に守りのレチノイドについて解説します。守りのレチノイドは肌に蓄えられ、肌を紫外線から守るとともに、必要に応じでレチノールに変化し、効果を発揮します。

リノール酸レチノール

リノール酸レチノールとは、レチノール(ビタミンA)とリノール酸が結合したビタミンA誘導体です。

リノール酸は脂肪酸のことでビタミンFとも呼ばれており、オリーブオイル・コーン油・大豆油などの植物油や、豆類、穀類に含まれています。
人間の体内では合成ができないため、必須脂肪酸の1つに含まれている成分です。

肌の細胞間脂質の50%を占めるセラミドの構成成分であるため、高い保湿効果が期待できます。肌のバリア機能を高めて水分が蒸発するのを防ぎ、肌なじみがいいので浸透性も高い成分です。

リノール酸レチノールは肌に塗布した時点で切り離されるため、それぞれの効果を発揮します。

パルミチン酸レチノール

パルミチン酸レチノールは、レチノールに飽和脂肪酸の一種であるパルチミン酸が結合したビタミンA誘導体です。

パルミチン酸は動物性・植物性の油脂中に含まれており、乳製品・肉・パーム油に多く含まれています。
肌への刺激が少なく安定性の高いビタミンA誘導体です。

表皮角化細胞増殖促進による細胞賦活作用(正常なターンオーバー保持)や抗シワ効果も期待されています。

化粧品の他にシャンプーや石鹸、育毛剤にも使われています。

レチノイン酸トコフェリル

ビタミンA誘導体のレチノイン酸に、ビタミンE誘導体のトコフェロールを結合させたものがレチノイン酸トコフェリルです。

レチノイン酸トコフェリルは肌のターンオーバーを促進し、線維芽細胞に作用してコラーゲン生成を促進し、肌のハリやツヤをアップさせます。

レチノイン酸単体よりも安定性が高くなっており、刺激が少ないため副作用も少ないので、皮膚の薄い目元や口元にも使用可能です。
ただ、乾燥肌や敏感肌の方は刺激を感じることもあるため、使用する際には注意が必要です。

レチノイド使用時の注意点

レチノイドもビタミンA誘導体も肌のターンオーバーを促進するため、古い角質が剥がれてバリア機能が低下しやすくなっています。
外部からの刺激を受けやすいため、保湿と紫外線対策は徹底して行いましょう。

レチノイドを使用していないときでも美肌のためには必要なことなので、肌内部の水分を蒸発させないようにして乾燥を防ぐことは大切です。

また、紫外線は乾燥するだけでなく肌細胞にダメージを与えて損傷させ、シミの原因となるメラニン色素を生成してしまいます。

紫外線は室内に居てもガラスを通過して降り注ぐため、朝のスキンケアの延長で日焼け止めは常に塗っておくと安心です。

まとめ

レチノイドと種類についてご紹介しました。

レチノール単体では肌への刺激が強いため、レチノイドを初めて使用する方や副作用や反応が心配な方はビタミンA誘導体から使用してみてもいいでしょう。

肌の弱い方は少量から使い始めたり、日にちの間隔を空けて反応を見ながら使用してみてください。

レチノイドには複数種類があり、それぞれ特徴や効果が違うため、自分に合った成分を見つけましょう。

医師監修はなふさ皮膚科 理事長 花房 火月

花房火月 With Dr.

平成7年4月~平成10年3月 私立東大寺学園

平成12年4月~平成14年3月 東京大学教養学部理科三類

平成18年 東京大学医学部医学科卒業

平成23年 三鷹はなふさ皮膚科 開設

平成26年 新座はなふさ皮膚科 開設

平成27年 国分寺はなふさ皮膚科 開設

平成28年 久我山はなふさ皮膚科 開設

平成29年 志木はなふさ皮膚科 開設

令和 2年 はなふさ皮膚科 大宮院 開設

令和 2年 はなふさ皮膚科 形成外科 朝霞台院 開設

令和 3年 はなふさ皮膚科 池袋院 開設

令和 4年 はなふさ皮膚科 新宿院 開設

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