ニキビやシワ、シミ、毛穴の開きなどあらゆるお肌のトラブルに効果を発揮する「レチノイド」。エイジングケアには欠かせない成分です。
最近ではレチノイド配合の化粧品を多く見るようになりましたが、レチノールは2017年に厚生労働省からシワ改善効果があると認められ、医薬部外品として販売されました。
レチノイドは美肌効果が期待できる成分ではありますが、使用には注意が必要です。
本記事では、レチノイドによる美容効果や皮むけなどの反応、使用方法の注意点について解説していきます。
レチノイドを使用してみたい方、どのような成分や効果なのか詳しく知りたい方は、ぜひ最後までお読みになり参考にしてください。
レチノイドとは?
「レチノイド」とはビタミンAとその誘導体のことで、レチノールやレチノイン酸といった種類があり、レチノイドはその総称です。
以下がレチノイドの一種になり、構造の違いによって呼び方が変わります。
- レチノール
ビタミンAの別名でレチノイン酸に比べ作用が穏やかで様々な化粧品に使われている
- パルミチン酸レチノール
レチノールにパルミチン酸を加えて結合したもの
- レチナール
レチノールが酸化したものでさらに変換されるとレチノイン酸に変化する
- トレチノイン
強力なターンオーバー促進作用があるため反応が出やすいので、医師の処方が必要
レチノイドは総称になりますが、各メーカーの化粧品に配合されている成分は異なります。
そのため、レチノイド使用でもレチノールを配合しているのか、トレチノインを配合しているのかで効果効能は変わってきます。
レチノイドには以下のような作用があります。
- 肌のターンオーバーの促進
・・・古くなった角質を排出してターンオーバーを正常化し、皮膚の色調を整える
- 皮脂分泌の抑制
・・・皮脂分泌の働きを抑え、ニキビの原因となる毛穴のつまりを解消することでニキビを防ぐ
- 繊維芽細胞を活性化
・・・コラーゲン・ヒアルロン酸の生成を促進し、ハリや弾力をアップさせる
- 肌細胞の損傷を抑制
・・・紫外線のダメージから肌を保護し、コラーゲンの損傷を防ぐ
お肌のお悩みが気になる部分に使用することで、改善が期待できます。
レチノイドの効果
レチノイドは神経や骨、免疫や目などあらゆる面で影響を与える、体に欠かせない成分です。
お肌にも嬉しい効果が期待できます。ここでは美容面での効果について詳しく見ていきましょう。
ニキビ
ニキビは毛穴の閉塞と皮脂分泌量の増加によって発症します。
レチノイドは毛穴の出口付近の角化を調整し、毛穴の閉塞を解除してくれる効果があります。
さらに、皮脂腺に作用し、皮脂の働きを弱めることで、ニキビのできにくい肌質に変えてくれることが期待できます。
また、肌のターンオーバーを促進して古くなった角質やメラニンを排泄する作用により軽度のニキビ跡の色素沈着を薄くする効果も期待できます。
毛穴詰まり
皮脂分泌を抑制する効果があるので、毛穴の出口付近で皮脂の角化を防いで毛穴詰まりを抑制します。
毛穴詰まりを抑制することで皮脂が酸化するのを防ぐため、毛穴の黒ずみも改善します。
真皮のコラーゲンを生成する働きもあるのでたるみ毛穴といった毛穴の開きにも効果的です。
シワ
線維芽細胞の増殖を促しヒアルロン酸・コラーゲン、エラスチンの生成を増やすため表皮を厚くしシワ改善の効果も期待できます。
1990年代半ばにアメリカの厚生労働省のような政府機関のFDAからシワ改善薬として認可されており、日本では2017年に厚生労働省より認可されています。
シミ
角化細胞を増殖させて肌のターンオーバーを促進する働きがあるため、シミの原因となるメラニンを排出し、シミを薄くします。
美白剤として知られるハイドロキノンと組み合わせた治療方法は東京大学でも研究され、広く普及さしているシミ治療方法です。
日焼け止め
肌に存在するレチノールは、紫外線を浴びると光線エネルギーを受け止めて、細胞の損傷を防ぐ作用があると考えられています。
紫外線を浴びるとレチノールが自ら犠牲となって壊れ、紫外線をブロックして真皮層深層部への侵入を防ぐのです。
その紫外線ブロック効果はSPF20ほどに匹敵すると言われているため、レチノールは「天然の日焼け止め」ともよばれています。
ただし、レチノールを使用しているときも日焼け止めは必須です。
レチノール反応
レチノールを使用し続けると、肌に反応が出てきます。
これらの反応は「レチノール反応」や「ビタミンA反応」「A反応」と言われ、ビタミンAが不足している肌にレチノールが入ることで、過剰に反応しています。
レチノール反応は一時的な症状で、正常な肌の反応です。
肌のターンオーバーが促進されている証拠でもあるためアレルギー反応ではないので、レチノール反応が出ても継続して大丈夫です。
肌にビタミンAが十分に貯蔵されると、約3~6週間で反応は治まってきます。レチノール反応は乾燥すると強く出やすいため、保湿を徹底して乾燥しないよう気を付けましょう。
期間はかかりますが徐々に古い角質が剥がれて新しい肌に生まれ変わってくるので、反応が落ち着いた頃にはきれいな肌になります。
元々皮膚にレチノイドが少ない人や、レチノイドに対して感受性の強い人が起こりやすいですが、継続することで肌が慣れていくのが特徴です。
レチノール使用時の注意点
レチノールは肌のターンオーバーを促進する作用があるため、皮が剥けるレチノール反応があります。
そのため一時的に角質が薄くなって肌のバリア機能が低下するので、外部からの刺激に弱くなっています。
レチノール使用中は保湿をしっかりして乾燥しないようにし、外出時は日焼け止めを塗って紫外線から守るようにしましょう。
敏感肌の人は濃度を薄めたり使用頻度を少なくするなどし、反応を見ながら使用してください。
また、レチノールは妊婦は使用できません。レチノール内服薬は催奇形性が強いため、妊婦の内服は禁忌とされています。
ビタミンA誘導体は妊娠中に過剰摂取するとリスクが高くなると言われています。
化粧品に含まれているレチノイドは影響を及ぼすほどではなく、外用なので内服しませんが、念のため使用は避けてください。
まとめ
レチノイドの効果や反応、使用上の注意点についてご紹介しました。
あらゆるお肌のトラブルに対して効果を発揮するため、少ないアイテムで肌を改善したい方やにはぴったりな成分でしょう。
アンチエイジングケアしたい方には欠かせません。
ただ、レチノール反応で皮むけや乾燥が起こるため、使用前には特徴や副作用を十分理解してから使用するようにしましょう。